昭和ガラス「ハイウェイ」 曲線の向こうに、あの時代の夢が見える
古い町並みを歩いていると、ふと足が止まるような美しい窓ガラスに出会うことがあります。
昭和ガラスにハマった今の私は特にそう。
先日、南阿蘇のドライブ中に出会ったのは、1967年生まれの型板ガラス
「ハイウェイ」

「ハイウェイ(高速道路)」という、窓ガラスにしては少し意外な名前。
ですが、そのデザインの背景を探ってみると、
当時の日本人が「マイカー」や「未来」に抱いていたワクワクするような希望が見えてきました。
旅先での出会いから、灯台下暗しな近所での発見まで。
今ではもう作られていない、貴重な昭和ガラス「ハイウェイ」の世界をのぞいてみませんか?
南阿蘇で出会った、忘れられない窓ガラス
少し前、南阿蘇をドライブしていたときのことです。
目的地に向かう途中、なんとなく入った少し古めの住宅地。
そこに珍しいガラス窓のお宅がありました。
あれ?このガラスって……
斜めに走る格子のなかに、渦を巻くような丸みのある模様。
昭和ガラスが好きな私でも、この模様は初めて見ました。
帰宅してさっそく調べてみると、それが昭和型板ガラス「ハイウェイ」という名前だとわかりました。
南阿蘇は熊本地震で大きな被害を受けた地域もあり、今も復興に向けて歩んでいる場所です。
私がこの『ハイウェイ』を見かけた集落は、幸いにも当時の姿を留めていたようで、
こうして美しいガラスに出会うことができました。
「ハイウェイ」という昭和型板ガラスのこと
「ハイウェイ」は、1967年(昭和42年)に旭硝子(現・AGC)が製造した型板ガラスです。
型板ガラスのくわしい記事はこちらです。

当時の日本は、住宅の洋風化が急速に進んでいた時代。
木造建具の窓に、明かりとりとしてこうした型板ガラスが広く使われるようになりました。
「ハイウェイ」もそのひとつとして、多くの一般住宅の窓に採用されていったガラスです。
今はもう、作られていません。
廃盤となった昭和レトロガラスとして、
リノベーション好きの方やインテリアファンの間でひそかに人気を集めている、貴重な存在です。
なぜ「ハイウェイ」という名前なのか
この名前、最初に聞いたとき、少し意外に思いませんでしたか?
窓ガラスに「ハイウェイ」。
でも調べれば調べるほど、なるほどなあ、と腑に落ちてくるのです。
1967年といえば、日本のモータリゼーションが一気に花開いた頃。
東名高速道路の開通(1969年)を目前に控え、「マイカー」という言葉が人々の口に上りはじめた時代です。
豊かさの象徴だった車
スピード感のある近未来の暮らしへの、あこがれそのものだったのです。
そのころのデザインには、時代の熱気と勢いが宿っています。
「ハイウェイ」の斜め格子と渦巻く曲線には、
まさにそのスピード感と躍動感が映し出されているように感じます。
直線でなく、曲線であることが大事。
まっすぐな道ではなく、
なめらかにカーブしていく高速道路のイメージ、でしょうか。
その一方で、このガラスを木製の建具にはめ込んで使う、という発想がまた昭和らしくて好きです。
洋風のデザインを、和の素材にほぼ無理やり組み合わせる。
結果、そのちぐはぐさが、なんともいえない温かみを生んでいます。
昭和ガラスの面白さって、そういうところにあるんですよね。
珍しい!と思ったら……近所にもあった
「ハイウェイ」を知ってから数日後のことです。
いつものように近所を散歩していたら――ありました。
よく行くコンビニの細い路地の住宅地。
ずっと見慣れていたはずの小窓。
よく見ると、あの斜め格子と渦巻き模様。「ハイウェイ」でした。
何年もそこにあったはずなのに、名前を知るまでは素通りしていた。
知った途端に見えてくる。
昭和ガラス集めをしていると、こういうことがよくあります。
古い町並みを歩けば、まだ現役で使われている「ハイウェイ」はきっとあちこちに息づいているはずです。
昭和の木造家屋が残る商店街、古い住宅地の路地裏……。
窓ガラスって、普段あまり意識して見ることがないけれど、
ちょっと立ち止まって目を向けてみると、思いがけない発見があったりするものです。
まとめ 昭和ガラス越しに届く、あの時代の声
「ハイウェイ」と名付けられたガラスが窓に入れられた1967年。
その家に暮らしていた人たちは、毎朝この窓から、どんな景色を見ていたのでしょうか。
車を持つことが夢だった時代。
高速道路が日本中をつなぐのを、わくわくしながら待っていた時代。
そんな昭和時代の人々の期待や希望が、
この曲線のなかにそっと閉じ込められているような気がします。
古い家の窓ガラスは、ただの「模様の入ったガラス」じゃない。
そこには、当時の暮らしとデザインへの思いが、確かに宿っています。
散歩のついでに、町の古い窓ガラスを見上げてみてください。
きっと、まだ見ぬ昭和の名前と出会えるはずです。
他の昭和ガラスも紹介しています。

私は定期的に相島行くのですが、ここにも昭和ガラスがありました。

